日本生気象学会

Japanese Society of Biometeorology

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東京オリンピック・マラソンと競歩の札幌移転およびパラリンピック・マラソン(東京)に関する声明

2019年10月30日
日本生気象学会

1. オリンピック・マラソンと競歩の札幌移転について

環境省熱中症予防情報サイト(2009~2018年の10年間)のWBGTデータから、
8月6日午前6時~9時の東京と札幌とのWBGTの差異を算出したところ、
札幌のWBGTが東京よりも4.6℃低かった。
この差異(4.6℃)を、松本らが実測した東京オリンピック・マラソンコースの
WBGTデータから減算することで、
札幌開催時のオリンピック・マラソンの「推定」WBGTを算出した。
東京の場合、午前6時~8時半までがWBGT25~28℃の「警戒」、
午前8時半~9時がWBGT28~31℃の「厳重警戒」となったが、
札幌の場合、午前5時~10時のすべての時間で
WBGT21~25℃の「注意」レベルとなった。
熱中症予防の観点からは、札幌での開催が望ましい。
ただし、本推定値は、平均的な暑さの日の場合であり、
もしも極端に暑い日となった場合は、東京に近い厳しい暑さが予想されるため、
札幌開催の場合でも、スタート時間は早い時間帯とし、
今後も出来得る限りの暑さ対策を行うことが望まれる。

2. パラリンピック・マラソン(東京)について

環境省熱中症予防情報サイト(2009~2018年の10年間)のWBGTデータから、
東京(午前5時~10時)の8月初旬と9月初旬とのWBGTの差異を算出したところ、
9月初旬のWBGTが8月初旬よりも2.7℃低かった。
この差異(2.7℃)を、松本らが実測した東京オリンピック・マラソンコースの
WBGTデータから減算することで、パラリンピック・マラソンの「推定」WBGTを算出した。
午前6時半~8時までがWBGT21~25℃の「注意」、
午前8時~10時がWBGT25~28℃の「警戒」となった。
オリンピック・マラソン(東京での開催)に比べると、
熱中症リスクは低いと予想される。